剣岳定着合宿  

■日程:2001年8月11〜18日
■メンバー
 8/11〜15:KSTAC;31E齊藤,31E伊藤,46C井坂,SD4秋山,SD2國井,SD2高木,SD2野崎
 8/15〜18:SAC;H田,Y田,S田,A木,S山,YRCC;井坂

■概要・感想・反省
  「北アルプスの南の重鎮を穂高とすれば、北の俊英は剣岳であろう。」
  日本百名山(深田久弥 著)の剣岳の項の書き出しです。
  今回は前半はKSTAC夏合宿、後半はSAC夏合宿と連続して山に入り合計7泊8日という
  最近にない長期山行となってしまった。
  疲れたが、途中メンバーが入れ替わり、楽しく、気分転換にもなり、充実した山行となった。
  入下山の大ザックはやはり重く、いつもの事だが、体力不足を感じた。
  また源次郎尾根・北方稜線の様な岩稜はルートファインディングが難しく迷惑をかけてしまった。
  VI峰Cフェース、チンネ左稜線の様な岩壁登攀の方がすっきりしていて簡単だった。
  夏山とはいえ寝袋がないと寒いこともあるので省略できない装備だった。
  下山時に貸してくれた伊藤さんに感謝。
 8/10 夜行発
 8/11 未明、扇沢着。室堂経由で真砂沢キャンプ場に入山、KSTACメンバーと合流。
 8/12 雪上訓練(1) KSTAC伊藤と合流。
 8/13 雪上訓練(2)
 8/14 源次郎尾根外出。KSTAC伊藤下山。
 8/15 井坂:休養停滞。
     SAC入山・合流。
     KSTAC齊藤,秋山下山。國井・高木・野崎は仙人池外出(野崎は途中帰幕)。
 8/16 熊の岩にBCを移動、八峰尾根VI峰Cフェース・剣稜会ルート登攀。
     SAC縦走隊(H田,Y田)は早月山荘へ移動。
     KSTAC現役隊(國井・高木・野崎)は黒四ダムに下山。
 8/17 チンネ左稜線登攀。S山体調不良で停滞。
 8/18 黒四ダムに下山〜平塚帰着

■内容
・8/10 平塚発 (22:00) ==
・8/11 入山KSTAC 晴後雨
 扇沢着 (2:30) 仮眠 -- 起床(6:00) -- 発 (6:30) == 室堂 (8:20-8:30) -- 剣御前小屋 (10:55-11:20) --
 剣山荘 (12:15-12:30) -- 真砂沢キャンプ場 (13:45)

黒四ダムで齊藤さんに呼び止められた。
以後、一緒に行動する。
剣沢キャンプ場から直接真砂沢キャンプ場
に行くつもりが、道を間違えて剣山荘に寄り道
してしまった。途中、源次郎尾根の取り付きを
確認してから真砂沢キャンプ場到着。
本日、入山予定の伊藤さんはBCに現れず、
小屋の人経由で「本日、室堂泊」との伊藤さん
からの伝言を受ける。真砂沢ロッジには衛星
電話があり \500/3分で貸してもらえるが、
登山本部の中田さん、伊藤さん共に連絡つかず。
なお、ビール350ml:\550、カップラーメン:\350、
カメラのフィルム:\800、ラーメン:\800、
カレーライス:\1000だった。小屋は朝食が 5:00
と遅く、登攀のBCには不向き。
朝食に弁当を頼めるかもしれない(未確認)。

剣御前小屋から望む剣岳本峰
 

・8/12 雪上訓練1KSTAC 晴後雨
 起床 (3:00) -- 出発 (4:30) -- 熊の岩の下 (6:30) -- 雪上訓練 -- 出発 (9:50) --
 剣沢との合流点で伊藤さんに遭う (11:00) -- 真砂沢キャンプ場着 (11:40 ? )
早朝は晴れていたがすぐに霧・雨となり気温が低い。今日は基本練習ということで早々に雪上訓練を切り上げる。
BC帰還中に伊藤さんに遭う。

・8/13 雪上訓練2KSTAC) 晴後曇
 起床 (3:00) -- 出発 (4:30) -- 熊の岩 (7:30) -- 雪上訓練 (8:00-11:30) -- 出発 (12:00) -- 真砂沢キャンプ場 (13:30)
KSTACメンバー勢ぞろいで天気も良いので時間をかけて雪上訓練をする。
歩行訓練は、熊の岩往復で十分なので、確保訓練(スタカット,コンテ)と滑落停止を中心に行なった。
休み時間に齊藤さんからゆで小豆のカキ氷を頂く。なお、秋山君は小豆が食べられないそうだ。
訓練中に、野崎君はピッケルのブレードで右目の上を負傷した。 訓練中の事故なので止むを得ないと思うが、
余計なリスクを避けるため、今後はブレードをガムテープ等でガードするなどの処置が必要かも知れない。
BC帰還中に何度か転んだ秋山君は尻が腫れていた。長次郎谷は部分的に凍結しているので打撲もあり得る。


長次郎谷の登り(雪上訓練)

雪上訓練(奥は熊の岩の天場)

・8/14 源次郎尾根KSTAC 晴
 起床 (3:00) -- 発 (4:30) -- 取り付き (5:30) -- 二峰の懸垂下降終了 (13:00) -- 剣本峰 (14:00) --
 熊の岩 (16:00) -- BC (18:10)
源次郎尾根は平蔵谷側の踏み跡を登る、まもなく濡れた岩があり、いきなりザイルを出す。
ルンゼを登ることも考えたが、先行パーティーが既に取り付いてザイルを出していたので、
尾根ルートを選択する。
明瞭な尾根ルートをしばらく登るとトラバースして浮き石の多いルンゼに入る。
途中で大岩の乗越でザイル、スリング使う。
最後の詰めも踏み跡に従いルンゼを行ったが、浮き石多く、非常に悪い。草付きの踏み跡を行くべきだった。
1峰の登りで道を間違え時間ロスしたこともあり、後続パーティーに先行してもらう。 野崎不調、休憩後は回復。
2峰からの懸垂点で先のパーティーに追いつきしばらく待たされる。
ラストの齊藤さんが懸垂下降した後、ザイル回収不能。 井坂がTIBLOC(登行器)で登り返し、
わずかに岩角に引っかかっていたザイルの結び目の位置を直し、懸垂下降、ザイル回収。
1時間丁度で剣岳本峰に到着。休憩後、北方稜線(踏み跡不明瞭で悪い)〜長次郎谷左俣(ガレと雪渓)〜
熊の岩〜長次郎谷右俣を経由してBC帰幕。
チンジャオロースとポテトサラダの夕飯ができたのは20時頃、21時過に就寝。

源次郎尾根は86年に登っているのだが記憶は殆どなかった。
齊藤さんと2人で現役4人を連れて登ったが、このメンバー構成ではルートを間違えると修正に時間がかかるので、
土地感のない源次郎尾根は大変だった。


剣岳本峰(2998m)での記念写真

熊の岩から八峰尾根VI峰を望む
 

・8/15 休養停滞 晴、後雨(夕立)
起床 (5:00) 、私は休養停滞なのでのんびり過ごす。
秋山は5時過ぎに黒四ダムに向けて出発、他の現役も仙人池に出発(体調不良の野崎はまもなく帰幕、休養)。
齊藤さんも7時前に室堂に向けて出発。13時ごろ國井・高木帰幕。
15時頃、SACメンバーが真砂沢キャンプ場に到着、テント設営準備中に夕立にあい、井坂テントに臨時避難。
その時、ザックに付けていたピッケルでフライシートを破ってしまった。 (T_T)
夕飯はビール、牛丼、スパゲッティー、他、山の飯とは思えない充実した内容だった。(担当:S田さん)

・8/16 熊の岩にBC移動、VI峰Cフェース登攀SAC 晴
 起床 (3:00) -- 発 (5:00) -- 熊の岩 (7:40) -- 剣稜会ルート登攀 (9:30-12:30) -- V・VIのコル -- 熊の岩 (14:00)
先行パーティーが遅いのでしばしば待たされたのが辛かった。
剣稜会ルートは簡単だったが、登頂後のV・VIのコルへの下りは緊張した。
赤ザイル(9mm*40m)とオレンジザイル(9mm*45m)のコンビは使いにくい。
特に40mザイルは短くて不便だった。
夕飯は鰻玉韮スープ、とろろ芋、他、豪華な内容。(担当:S田さん)
熊の岩は水場もあり景色も良く岩場が近いのでBCとして最適。
8/13,14は10数張りのテントでにぎわっていたが、8/16は我々だけの貸切状態。
日陰がナイので昼間暑いのと、トイレがないのが欠点。
左俣側にある水量の少ない方の沢がハイマツで覆われれば格好の水洗トイレになるので、
だれか植林して下さい。 (^o^)

・8/17 チンネ左稜線登攀SAC 晴
 起床 (2:30) -- 発 (4:00) -- 稜線 (6:00) -- 左稜線取り付き (7:00) -- 登攀開始 (7:40) --
 40m(II級)の草付き(ハイマツ)ピッチ終了 (9:45) -- V級ピッチの取り付き (11:20-11:50) --
 チンネの頭 (14:30-15:00) -- BC帰幕 (16:00 ? )
稜線に向かって雪渓を登っている途中、S山が体調不良を訴える。A木が付き添い帰幕するが、
A木はまもなくS田・井坂の登攀隊に追いつき、3人パーティーで登攀することにする。
長次郎谷右俣の左側を詰めて、北方稜線に到達し、池の谷乗越から池の谷を下降、
三の窓を登り返して左稜線取り付き点に到達する。
なお、帰りは池の谷乗越から直接長次郎谷を下った。登りもこのルートが良い。今後の反省。
左稜線の登攀は総じて簡単であったが、遅い3人×2組に先行されたので常に待たされて辛かった。
彼らは前日Cフェース登攀後八峰尾根を縦走し、池の谷乗越にツェルト泊していたようだったが、
それにしては朝の行動が遅いと思う...
40m(II級)の草付き(ハイマツ)ピッチをコンテで移動し先行パーティーを待っていると
後続パーティーに追いつかれた。 以後、前後を挟まれた渋滞状態が続く...
核心の鼻(V級)は思っていたより簡単だった。
ちょっと前傾していてスタンス(フットホールド)が乏しいがクライミングシューズなら余裕で立てる、
ハンドホールドはガバで、ハーケンは豊富なので楽に登れた。
湯河原幕岩ならせいぜい 5.8 程度の初級ルートだと思う。
登攀終了後は池の谷に下った後、池の谷乗越に登り返して長次郎谷経由で熊の岩BCに帰幕した。
熊の岩には2人用のテントが一張り増えていた。
S山さんが冷えたポカリスエットとウイスキー、夕飯のスパゲッティー,カレーうどん,
卵スープを準備していてくれた。 謝謝。 m(_"_)m


↑チンネ左稜線から望む三ノ窓雪渓


←チンネ左稜線の核心の小ハング(通称:鼻,V級)
  たぶん 5.8 ぐらい。

・8/18 下山SAC 晴
 起床 (3:00) -- 発 (4:30) -- 真砂沢キャンプ場 (5:45-6:00) -- 内蔵助平 -- 黒四ダム (14:00)
真砂沢キャンプ場に向かう途中の巻き道がある所の雪渓(8/16は歩行可能だった)は
既に分断され歩行不能だった。
ハシゴ谷乗越へ向かう分岐は、地形図および昭文社エアリアマップに誤記があり、
ペンキの印もちょっとわかり難かったので、迷ってしまった。
ハシゴ谷乗越への登りでキスリング部隊と前後した。どこの山岳部だろうか?
50Kgぐらいありそうな大荷物だった。 キスリングも古く、破れたあとを縫って使っていた。
他にも小屋泊まりの中高年登山者数組と前後した。意外と登山者の多いルートだと思った。
今日は天気が良すぎて荷物も重いので疲れた。 終盤は30分毎に休みながら歩いた。


■蛇足
小屋のおじさんが、アルバイトの学生を評して「最近の若い奴は解らん。暇な時間にゲーム
(ゲームボーイ?)で遊んでいる。せっかく山にいるのだから山でしかできないことをすれば良いのに」
と言っていた。
一応、小屋のおじさんには、「彼も山が好きだからわざわざ山で働いているのですよ。」と言っておいた。


■費用
・交通費
 往路:ガソリン代(¥2700) 高速代;相模湖〜豊科(¥4100) 扇沢〜室堂(¥5460)+荷物代(?)
 復路:黒四ダム〜扇沢(¥1260) ガソリン代(¥2700) 高速代;豊科〜一の宮御坂(¥3100),河口湖橋(¥200)